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土佐高知の雑記帳

四国西南部から徒然なるままに、祖国の右傾化、田舎切りすてに異議申し立てほえる。靖国神社の戦争犠牲者冒涜に怒りの発信!軍需産業=吸血鬼を暴き出すお気楽バンパイア・ハンター(^○^)

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特攻司令官たちの処世術と「石原映画」

「石原映画」でもう一つ違和感があったのは、大西瀧治郎中将の描き方だ。冒頭にフィリピンのマバ

ラカット基地で、特攻の必要性を説く中将の話し方に強い違和感をもった。中将は、太平洋戦争を白色人種にたいする黄色人種の戦いと描き、若者が死ぬことによってそのことを白人たちにしめすのだという。

そして、「志願か強制か」と問う部下に「強制である」と断言し、部下にも死ぬ覚悟を求める。

ここには特攻兵たちと同じく、大西中将に他の特攻指揮官や戦争指導者たちの発言を凝縮させる石原脚本の特異性がある。

そして映画の最後に大西中将の自決シーンを挿入することによって、特攻作戦を発案した指揮官も自ら責任をとって自決した、との刷り込みを観客に行なおうとする意図がミエミエだ。

だが、特攻作戦の責任をとって自決した司令官は、大西瀧治郎中将のみである。

ほかの特攻司令官はどうだったか。

海軍で沖縄特攻を指揮した第五航空艦隊司令長官宇垣纏中将は、玉音放送のあと、中津留達雄大尉以下22名を道連れに私兵特攻をおこなった。

知覧特攻基地を指揮し、自分もあとから行くと言っていた第六航空軍司令官の菅原道大中将は、玉音放送後、部下から「一機用意いたしました。おともします」と言われたが、「死ぬばかりが責任を果たすことにならない。それよりは後の始末をするほうがよい」と語り出撃しなかった。

フィリピンで陸軍特攻を創設し、特攻隊出撃前の訓示では「諸君はすでに神である。私も必ず後を追う」と言った富永恭次中将は、米軍がフィリピンに上陸するや大量のウィスキーをつんで台湾に向けて敵前逃亡した。

佐官以上で特攻出撃で戦死したのは、宇垣纏中将に犬死特攻を命ぜられた第一次神雷攻撃隊の野中五郎少佐だけである。

「石原脚本」は、こうした特攻司令官たちの醜い処世術を覆い隠して観客の「特攻を命じた側への怒り」をそらすために、大西中将のエピソードを挿入させることで特攻戦術を美化していると感じた(トメさんの目線から特攻を描くというのなら、大西中将と関行男大尉のエピソードは蛇足だからだ)。

余談ながら、関行男大尉の描き方も薄っぺらい。
映画では、大西中将の部下たちから特攻作戦を提案されたとき、的場浩司演ずる関行男大尉は、苦悶の表情を浮かべ、頭をかきむしり「行きます。行かせてください」と答える。

そしてシーンは神風特別攻撃隊の実写シーンにうつるのだが、この実写シーンは第一次神風特別攻撃隊のシーンではない(つかわれているのはその後の特攻攻撃のアメリカ側フィルム)。

敷島隊などの第一次神風特別攻撃隊による、空母「サン・ロー」などに突入した写真はあるのだが、フィルムは残っていない。
ここらの「手抜き」もシラケタゆえんでもある。

実際はどうだったのか?

デニス・ウォーナーの「ドキュメント神風」によれば、しばらくの沈黙のあと、「わかりました」と答えた関大尉に、佐官のひとりが「貴様はチョンガーだったな」と問いかけると、「いえ、結婚しております」と答えたという(関大尉は即答をせず、翌日になって決意したという説もある)。

そのあと関大尉は、マバラカットにいた報道員に「僕には体当たりしなくても敵空母に50番を命中させる自信がある。日本もおしまいだよ、僕のような優秀なパイロットを殺すなんてね。僕は天皇陛下のためとか日本帝国のためとかで行くんじゃないよ。KA(海軍の隠語で妻のこと)を護るために行くんだ。最愛の者のために死ぬ。どうだ、すばらしいだろう」と語ったという。

関行男大尉を描くのなら、その人間的葛藤を描くべきだっただろう。

さて、「調査なくして発言権なし」(改訂版)という至極あたりまえの立場から、映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」を観ての評価だが、戦争美化、特攻美化とまでは言い切れないが、特攻隊の事実と真実は描ききれていない中途半端な作品だったと思う。

これよりは、はるかに映画「月光の夏」が特攻隊の事実と真実を伝えていると思った。

宇垣纒司令官による最後の特攻

俺は、君のためにこそ死ににいく・・・・・評価額950円


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*Comment

 

中でも宇垣纏中将の「私兵特攻」は、じつに罪の深い行為です。死後にどのような処遇を受けたのか、知りたいものです。
  • posted by 志村建世 
  • URL 
  • 2007.06/02 19:07分 
  • [Edit]

こんばんは 

tbどうもです。
素晴らしいレビューですね。
私も大西瀧治郎のとって付けたような切腹には違和感を感じました。
前半の特攻を決定する描写は、国家のグロテスクさがそれなりに出ていると思ったのですが、後半の切腹は逆のベクトルを向いている様に思いました。
どうも色々な意味でちぐはぐな映画でしたね。
あと、日本の戦争映画でいつも思うのですが、歴史を描く映画で、記録フィルムの扱いの無頓着さは何とかしてほしいですね。
  • posted by ノラネコ 
  • URL 
  • 2007.06/04 00:09分 
  • [Edit]

 

志村建世さんへ

宇垣纏中将にたいする評価は、軍人のあいだでも高くないようですね。

道連れされた中津留大尉のお父さんの話は、同情して余りあるものがあります。
最初の特攻隊長であった関行男大尉も、母一人子ひとりでしたし、妻帯者でした。

ノラネコさんへ

コメントありがとうございます。

ちぐはぐな映画だったというのは同感です。
脚本なのでしょうかね。
石原氏はタイトルを「特攻賛歌」にしたかったようですが…。

特攻についてあまり知識のない人には受けたかもしれませんが、なかなか感情移入できない映画でした。

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