土佐高知の雑記帳

四国西南部から徒然なるままに、祖国の右傾化、田舎切りすてに異議申し立てほえる。靖国神社の戦争犠牲者冒涜に怒りの発信!軍需産業=吸血鬼を暴き出すお気楽バンパイア・ハンター(^○^)

Entries

歴史を語らない「永遠の0」


「永遠の0」に登場する宮部久蔵少尉を知っている10人の狂言回したちのうち、3人は予備学生。昭和18年の学徒出陣で学生か

ら軍人となった人たちである。軍人になる前は学究の徒である。戦争について当時は一理屈はもっていたはずだし、戦後になったいまはもっともっているはずだ。

クリック応援をお願いします↓↓↓

人気ブログランキングへ

そして彼らにお祖父ちゃんのことを尋ねる慶子も健太郎も大学を出ている。
だが狂言師たちもその話を聞く2人も不思議なことに、お祖父ちゃん(宮部久蔵少尉)が死んだ特攻という非道な戦術をなぜ日本がとらなければならなかったのか、勝ち目のない戦争を日本がなぜ始めたのか、戦争そのものについてはふれられない。
日本軍のとった個々の無謀な戦闘や、それを命令した軍人たちへのきびしい批判は散見できるのだが、戦争と特攻の本質に迫るような語りとそれに対する問いかけはない。

学徒出陣兵の手記を読むと、もちろん家族や恋人たちに対する熱い思いとともに、戦争そのものについての私見がある。
その典型の一つが上原良司陸軍大尉であるが、「永遠の0」に出てくる元学徒兵にインテリジェンスは感じられない。

そのなかで唯一私見を語っているのが、武田貴則元海軍中尉である。
彼は戦後、大学に戻り、大学院を出たあと経済人として活躍し、一部上場企業の社長まで務めた人物である。
慶子に祖父のことを記事にすることを勧めた「大新聞社」に努めている高山と激しくやり合う。

武田元海軍中尉の戦争観、歴史観を引く。

「特攻の体験は語りたくない。特にあなたには」
「わたしはあなたの新聞社を信用としていないからだ」
「あなたの新聞社は戦後変節して人気を勝ち取った。戦前のすべてを否定して、大衆に迎合した。そして人々から愛国心を奪った」
「わたしはあの戦争を引き起こしたのは、新聞社だと思っている。日露戦争が終って、ポーツマス講和会議が開かれたが、講和条件をめぐって、多くの新聞社が怒りを表明した。こんな条約が呑めるかと、紙面を使って論陣を張った。国民の多くは新聞社に煽られ、全国各地で反政府暴動が起こった。日比谷公会堂が焼き討ちされ、講和条約を結んだ小村寿太郎も国民的な非難を浴びた。反戦を主張したのは徳富粗放の国民新聞くらいだった。その国民新聞もまた焼き討ちされた」
「わたしはこの一連の事件こそ日本の分水嶺だと思っている。この事件以降、国民の多くは戦争賛美へと進んでいった。そして起きたのが5.15事件だ。…ところが多くの新聞社は彼らを英雄と称え、彼らの減刑を主張した。新聞社に煽られて、減刑嘆願運動は国民運動となり、裁判所に7万を超える嘆願書が寄せられた。その世論に引きずられるように、首謀者たちには非常に軽い刑が下された。この異常な減刑が2.26事件を引き起こしたと言われている。…このあと、日本は軍国主義一食となり、これはいけないと気づいた時には、もう何もかもが遅かったのだ。しかし軍部をこのような化け物にしたのは、新聞社であり、それに煽られた国民だったのだ」
「戦後多くの新聞が、国民に愛国心を捨てさせるような論陣を張った。まるで国を愛することがツミであるかのように。一見、戦前と逆のことを行っているように見えるが、自らを正義と信じ、愚かな国民に教えてやろうという姿勢は、まったく同じだ。その結果はどうだ。今日、この国ほど、自らの国を軽蔑し、近隣諸国におもねる売国的な政治家や文化人を生み出した国はない」

武田は作者である百田尚樹氏の化身なのだろう。
武田のあげた出来事は一面は当たっているが、重大な欠落がある。
一つは、加害の側面、侵略戦争の側面をすっぽりと脱落させていることだ。
国内の軍国化に向かうあれこれの出来事については批判的にふれるが、そのもう一つの側面である加害・侵略戦争のことについてはふれようとしない。
それと関わることだが、侵略戦争を推進した天皇制や財界、政治家、陸海軍に対する批判がなく、もっぱら戦争責任を新聞・ジャーナリズムと国民に押しつけている。

もう一つは、当時の若者たちの置かれていた環境、抱いていた死生観、歴史観、人生観を正確にすくいあげていない。

それは、「帰れ」と言われて席を立った高山と、彼を追った慶子のあとに残された健太郎に、武田が次のように語るところに現われている。

「我々の中には天皇陛下のために命を捧げたいと思っている者など一人もいなかった。戦後、文化人やインテリの多くが、戦前の日本人の多くが天皇を神様だと信じていたと書いた。馬鹿げた論だ。そんな人間は一人も誰もいない。軍部の実権を握っていた青年将校たちでさえそんなことは信じていなかっただろう」

事実は逆だ。
もちろん上原良司さんらのような人たちもいたが、それはむしろ少数で多くの兵士は天皇陛下のために命を捧げるのは当然だと思っていたし、軍部の実権を握ることは出来なかったが、反乱を起こした青年将校たちは狂信的な天皇主義者だった。

作品に歴史がない。
だから登場人物にリアリティがない――これが「永遠の0」のもつもう一つの限界でもある。


☆きょうも読んでくれてありがとうm(__)m
 サヨクブログのランキングアップにご協力を!
  励みになります。ポチッとおねがい!
↓    ↓   ↓
にほんブログ村 政治ブログへ

*Comment

NoTitle 

あの歴史には加害・侵略戦争の面もあるが被害・防衛戦争の面もあり、簡単には断じられない側面があります。戦後人は、あの戦争を加害・侵略戦争としか教わっていませんが、当時の人が加害・侵略戦争と殆ど思わなかったのは何故なのか?(もし大多数の人が加害・侵略戦争と思えば、国民は戦争協力を拒んだでしょう。憲兵が脅して戦争をさせたとか?そんな事では国民は協力しません。開戦前、戦争を望む空気が満ち溢れていた事は当時の人達の日記や手記から分かります。厭戦的になるのは末期になってからです。)
とすれば一つは、当時マスコミがその様に思わせていたから・・・となりますが、それだと結論は百田氏と同じです。もう一つは、本当に加害・侵略戦争ではない側面があったから、国民もそれが分かっていた可能性もあります。
私は昔、戦前育ちのおじいさん、おばあさんと、戦中戦後育ちの父母で、戦争に対する捉え方が合わなかったのを実際に見ています。
戦争末期と戦後の荒廃が身にしみた父母は日本の戦争を全否定していましたが、おじいさん、おばあさんはもっと知っておく事があると言って見解が合いませんでした。
  • posted by 通りがけ 
  • URL 
  • 2014.03/14 00:56分 
  • [Edit]

だいじな指摘ありがとうございます。 

戦後になってあの戦争を俯瞰できた情報が入った場合と、戦争中の環境の制御された情報の元で捕らえた場合との違いはあると思います。
そしてそれに基づいて国民は行動したと思います。

太平洋戦争と一口で言っても、昭和19年までは国民の多くは、風の噂で大変なことになっているらしいということを知ってはいても、物資事情で不便はかこっていても、またまだ戦争の実感はなかったと思いますね。
  • posted by 土佐高知 
  • URL 
  • 2014.03/14 08:42分 
  • [Edit]

歴史を知らないと言えば 

日本共産党もたいがいにしないといけませんね。
党員は、党がひた隠しにする歴史を知らないとネトウヨに突っ込まれてひどい目に遭います。

防衛のために「バカサヨ言行録」を読まれることをおすすめします。
  • posted by busa Yo_dic(規制警戒HN) 
  • URL 
  • 2014.04/06 00:27分 
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

Menu

応援おねがいm(__)m

サヨクブログ興隆のために 1日1回それぞれポチッと!!↓


にほんブログ村 政治ブログへ

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

アンケートのおねがい

このブログへの評価をおねがいします。これからの記事に反映させていきたいと思います。

プロフィール

土佐高知

Author:土佐高知
男性/スライム系(LV61・HP715・MP1952)/高知県に生息/酒席は好きだが、晩酌はしない/どちらかといえば「凝り性」/美徳は「きまぐれ」/ウルトラマラソンに向かって日々鍛錬中!!/嫌いなことは陰口と意見を無視する態度
◎ブログの考え◎
TBは、削除しません。ただし、アダルトやスパム、記事に直接関係のないものなどは警告なく削除します。
コメントへの書き込みは、管理人および訪問者の意見交換の場と考えていますので、反対意見でもフレンドリーかつ建設的な態度で行なっていただくようお願いします。無意味な文字の羅列や、コピペ、他者を誹謗・中傷する(この判定は下記のとおり)コメントは警告なく削除する場合があります。多重ハンドル禁止など、ネチケットをまもることは、最低限のルールであることは言うまでもありません。
その他、ここに明文化していないことは土佐高知の判断に属します(重要!)。
紹介している商品の取引は、それぞれの責任でおこなってください。当ブログは一切の責任をおいません。

MAILをどうぞ!

ここでは書けないご意見、お問い合わせをどうぞ。

名前:
メール:
件名:
本文:

全記事(数)表示

全タイトルを表示

最近の記事

月別アーカイブ

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

QRコード

QRコード

FC2掲示板

FC2拍手ランキング

ブロとも申請フォーム

埋め込み

右サイドメニュー

トコトン共産党

ご訪問ありがとう

ただいまのご訪問者

現在の閲覧者数:
無料カウンター

ランキング

ブログ内検索

土佐高知のランキング

商品検索

賛同TBセンター


「しんぶん赤旗」

ブログジャンキー

わたしのオススメ

お薦めの本、CDなど



















アフリⅠ

アフリⅢ