土佐高知の雑記帳

四国西南部から徒然なるままに、祖国の右傾化、田舎切りすてに異議申し立てほえる。靖国神社の戦争犠牲者冒涜に怒りの発信!軍需産業=吸血鬼を暴き出すお気楽バンパイア・ハンター(^○^)

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戦艦「武蔵」の最期と特攻


「永遠の0」(講談社文庫2010年第13刷)を詳しく読んだ。小説(フィクション)だから多少は事実と違う表現があってもいいとは

思う。たとえば現実にはなかったヒロシマ、ナガサキに原爆が投下されたあとの宮部久蔵少尉の沖縄方面への特攻などである。

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彼の経歴についても悲劇性を浮き彫りにさせる演出手法としてまだ我慢できる。
だが、事実と異なることを平然と書かれると鼻白む。

この小説の狂言回しの一人である谷川正夫・元海軍中尉。
宮部久蔵少尉とは上海の部隊から、真珠湾、ミッドウエー、マリアナ沖海戦までいっしょだった彼の話に、マバラカット基地でほかの隊員たちといっしょに集められ、副長から特攻作戦を告げられ特攻志願を募られるシーンが出てくる。
そこで描かれる副長の「行くのか、行かないのか」の一喝は、史実では201航空隊玉井副長が第10期甲種飛行予科練生などを集めて訓示するシーンそのままで、それは大西瀧治郎中将がマバラカット基地に来て201航空隊幹部に航空機特攻を打ち明けたあとのことである。
ところが「永遠の0」では大西瀧治郎中将が第一航空艦隊司令に赴任する前の出来事とされる。
小説だから時間と空間を飛び越えてもかまわない、と思っているのかもしれないがちょっと酷い。

谷川正夫・元海軍中尉の脱線は「捷一号作戦」と特攻を語る段になるとさらに酷くなる。
谷川元中尉は「捷一号作戦」「栗田艦隊の謎の反転」について詳しく語ったあと、次のように言い切る。
「栗田艦隊の反転で、アメリカ軍に一矢を報いる最後の機会を逸した。小沢艦隊の多くの将兵の犠牲はすべて無駄になった。また敵攻撃機の攻撃を一身に引き受けてスリガオ海峡に沈んだ「武蔵」の奮戦も無駄になった」

エッ?
戦艦「武蔵」はスリガオ海峡に沈んだ?
ウソ八百でしょう(^○^)
史実はこうである。

10月24日。
ルソン島南のシブヤン海に入った栗田艦隊は、朝からサンベルジナノ海峡とルソン島東海岸に附近に陣取るハルゼー提督の率いる13隻の空母艦載機の執拗な攻撃をうけた。

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戦艦「武蔵」が集中的な攻撃をうけた。午後3時半、栗田艦隊は猛攻に耐え切れず、進路を反転させた。フィリピン北方海上に現れた小沢機動部隊は、基地航空隊と協力してハルゼーの機動部隊に空襲を加えた。ハルゼー提督は栗田艦隊の反転を壊滅的打撃をうけて撤退中と解釈し、また北方に現れた小沢機動部隊を日本軍の主力とみて、サンベルジナノ海峡附近から高速で北進をはじめた。
空襲がやんだ栗田艦隊は午後5時45分、再び反転してサンベルジナノ海峡を目指した。その途中で断末魔の「武蔵」をみている。20発の魚雷と数多くの爆弾をうけた戦艦「武蔵」は、陸上に乗り上げようと苦闘していたが午後7時35分に力尽きて転覆、大爆発を起こして沈没した。猪口敏平艦長は艦とともに運命をともにした。猪口力平第一航空艦隊参謀の兄である。

スリガオ海峡に沈んだのは、別働隊(西村艦隊)の戦艦「扶桑」「山城」などである。
史実は次の通り。

西村艦隊は、夜半すぎにスリガオ海峡からレイテ湾を目指して北上したが、戦艦6隻、重巡洋艦4隻、軽巡洋艦4隻、駆逐艦26隻、魚雷艇39隻の待ち伏せ攻撃にあい、25日午前4時までに駆逐艦1隻をのこして全滅した。米艦隊はレーダー夜間射撃と日本海海戦で日本連合艦隊がとった丁字戦法で西村艦隊を迎え撃った。2時間おくれで追尾した志摩艦隊は突入を断念した。

谷川元中尉は敷島隊の突入についても次のように語る。
「敷島隊の特攻が行われたのは、栗田艦隊の反転の翌日だった。しかし、勝機は既に去っていた――。」
これも時間と空間を飛び越えた狂言である。

10月25日の史実を続ける。

午前6時45分、突然、レイテ湾をめざす栗田艦隊と米第七艦隊所属の護衛空母群「タフティ4・3」が遭遇した。栗田艦隊は念願の高速機動部隊を発見したと思い、連合艦隊にその旨を打電するとともに、艦砲射撃を加えながら追撃した。戦艦「大和」の主砲がはじめて敵艦隊にむけて撃たれた。突然の日本艦隊の出現に驚いた米艦隊は煙幕をはった。スコールも利用して南へ逃ようとした。また、仲間の護衛空母部隊に栗田艦隊への攻撃を要請した。護衛の駆逐艦隊は日本艦隊への捨て身の突撃をおこなった。栗田艦隊の砲撃をうけ、護衛空母「ガンビアベイ」は午前9時前に沈没し、「ファンショー・ベイ」、「キトカン・ベイ」も傷ついた。

このとき、レイテ湾口にいた3つの護衛空母群のうち、一番南にいたグループ「タフティ4・1」は、高高度で接近してくる4機の日本軍機を発見した。その1機が急降下してきた。その日本軍機は機銃掃射しながら、対空砲火からの回避行動をとらずまっすぐに護衛空母「サンティー」にむかい、そのまま体当たりした。

昭和19年10月25日ミンダナオ東方

大きな爆発が起きた。別の2機が「サンガモン」「ペトロフ・ベイ」に急降下した。対空砲火で撃墜されたが、日本軍機の動きは明らかに異様だった。米兵たちは驚愕した。8時4分、最後の1機が「スワニー」に体当たりして、飛行甲板を貫通、格納甲板で爆発した。
これらの特攻を行ったのはダバオ基地から出撃した菊水隊、朝日隊、山桜隊の爆装ゼロ戦である。

護衛空母艦隊を追跡していた栗田艦隊は、午前9時11分、追跡を打ち切り、米駆逐艦隊の攻撃によって乱れた隊列を立て直すために北上集結を指示した。栗田艦隊の北上と入れ違うように、マバラカット基地を出撃した敷島隊がサマール島東方海上を南下した。
このとき低空で南下する敷島隊の五人を直掩する零戦隊の西沢広義上飛曹は、眼下に米艦載機に襲われながら北上する栗田艦隊をみた。

午前10時50分「タフティ4・3」は、レーダーにうつらなかった5機の零戦の異常な攻撃をうけた。レーダーにうつらなかった理由は、低空から接近し、輪形陣の中に入ってから急激に上昇、高度5~6千フィートから急降下を始めたと推定されたからである。

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この艦隊は、早朝からの栗田艦隊の攻撃をしのぎ、ほっとしていたときだった。不意をつかれたのである。
急上昇した零戦は、上空で二つのグループにわかれ、今度はほぼ同時に急降下を始めた。
関大尉のものと思われる一番機は護衛空母「キトカン・ベイ」に突入した。火災を発生させたが250キロ爆弾は爆発しなかった。それをみた2番機も「キトカン・ベイ」に突入した。今度は爆弾が爆発し大きな被害を与えた。3番機は護衛空母「カリニン・ベイ」に突入した。4番機、5番機は護衛空母「ホワイト・プレーンズ」と「セント・ロー」の方向に向かっていった。「ホワイト・プレーンズ」に向かった零戦は対空砲火で左翼をやられ、艦をかすめて至近距離で爆発した。

もう一機も被弾・発火したが、その零戦は「ホワイト・プレーンズ」をこえて、その向こうにいる「セント・ロー」に、まるで飛行甲板に着陸するような角度でゆっくりと突っ込んだ。零戦は飛行甲板をすべるようにして爆発した。爆弾は甲板を突き破って格納庫で爆発した。格納庫にはガソリン満載の飛行機がいた。それらは爆発によって吹き飛び、11時30分、「セント・ロー」は8回目の爆発で艦尾を上にして沈没した。

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集結のため北上していた栗田艦隊は、集結を終えると午前11時にレイテ湾を目指して再び南下をはじめた。ほぼ同じころ、小沢機動部隊は、ルソン島エンガノ岬沖で、ハルゼー機動部隊の艦載機の猛攻撃をうけていた。おとり作戦は成功したのである。小沢機動部隊はそのことを栗田艦隊と連合艦隊司令部に打電したが、無線機の故障や不備で栗田艦隊にはとどかなかった。小沢機動部隊の4隻の空母は午後5時までにすべて沈められた。

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レイテ島にいたマッカーサーは栗田艦隊の接近に驚愕した。レイテ島でマッカーサーとその側近は顔面蒼白となった。そのときのことをのちに「いまや勝利は栗田提督のもとに転がり込もうとしていた」とマッカーサーは回顧録に書き残した。
一方、情報がはいらない栗田艦隊は、燃料のことも心配になりはじめていた。そのとき、北方至近距離に有力な敵機動部隊を発見したとの情報をうけとった、栗田長官は午後0時36分、レイテ湾を目前にその敵を目指して北北東に進路を反転した。有名な「謎の反転」である。北方にいるとされた敵機動部隊は、栗田艦隊を誤認した索敵情報だった可能性があるが、ここに「捷一号作戦」は失敗に終わった。

長くなったが昭和19年10月25日のレイテ湾をめぐる、日本艦隊と第一神風特別攻撃隊の死闘はこうだったのである。
「勝機は既に去っていた」どころか「反転」まではあったのだ。
日米両軍に多数の死者が出たであろうレイテ湾の戦いは、「栗田艦隊の反転」まで小沢艦隊、西村艦隊、戦艦「武蔵」、特攻隊員の死闘・犠牲によって「勝機」を切り開いていたのである。
だから戦後、病床の小沢提督を見舞った栗田提督は2人無言で手を握り合い、涙を流したのだ。

そして栗田艦隊がこの日あげた戦果とそれに匹敵するかうわまわる特攻の戦果をみて、大西瀧治郎中将は限定特攻から全軍特攻へと思想を飛躍させたのである。

ここを不正確に描く特攻物語とはいかがなものか。


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